風邪をひいたら皆さんはどうしますか?
- 自力で治す
- 病院に行く
- 市販の風邪薬をのむ
こんな感じですかね。
この中で、今回は「病院に行く」というところにフォーカスして、風邪には抗生物質が効く!という「あるある」の答えを出していきたいと思います。
まず、風邪。風邪って「ウイルス性上気道感染症」なんですけど、原因となるウイルスはこんな感じです。
- ライノウイルス(よくある風邪)
- コロナウイルス(冬に多い風邪)
- アデノウイルス(夏風邪)
- エンテロウイルス(下痢する風邪)
乳幼児で怖いと言われている”RSウイルス”も風邪の原因ウイルスです。
ではでは抗生物質って何なのか簡単にいうと、「細菌を殺す薬」なんですね。ちなみに細菌とウイルスは別物ですので「ウイルスは死にません」。←ここ重要
なので、風邪の原因ウイルスを死滅させることはできないんです。さらに、
「いやいや、抗生物質は2次感染を予防するために飲んでいるんだ。」
という方もいます。
2次感染というのは、風邪をひいて抵抗力が弱くなった時に「肺炎球菌」などの細菌が感染してしまうことをいいます。
しかし、「抗生物質では2次感染の予防効果はない。」とさまざまな研究の結果として結論付けられていますので、「予防の目的に抗生物質を服用するのもOUTです」。←ここ重要
まぁ 医師の中にも「風邪には抗生物質が効くんだー!!」という方がまだいますので、病院にいけば風邪に抗生物質が処方されることが多々あるんですが。
ただ、これだけは覚えておいてください。
風邪治療の本尊である「日本呼吸器学会」が2004年に「かぜに対する抗生物質の投与は無効。細菌による二次感染予防にも必要ない」とガイドラインを作成している。
ことを。
それでも頑なに抗生物質を服用し続けるってのは、ちょっとナンセンスかもしれませんね・・・。
そして、薬剤師だからこそ知っている抗生物質の怖さってのもあるんです。
一つ目は「本当は自己治癒力で治るような病気なのに、抗生物質に頼っていると細菌に対する抵抗力が低下してしまう。」ことです。
カラダの能力というのは「必要だから備わっている」わけで、いつも事があるたびに抗生物質を服用している状態では「抵抗力(免疫)は必要ない。」とカラダに判断
されてしまいます。
その結果、細菌に侵されやすい弱いカラダになってしまいます。
そして一番恐れていることは、
「抗生物質の乱用で薬物耐性菌が生まれる」こと。
抗生物質と細菌の戦いって、抗生物質(初代:ペニシリン)が誕生したときからずっとあるんです。
ペニシリンという抗生物質にずっとやられてきた細菌たちが「ペニシリンに負けないように変身」をしてペニシリン耐性を身に付けました。
すると人間はペニシリンを進化させて、ペニシリンに耐性を持つ細菌にも有効な抗生物質を作り出しました。
当然細菌はその抗生物質にも負けないカラダに変化をして・・・
っていう感じで、現在もその戦いは続いているんです。
しかも人間の技術は頭打ちに近づいているので、このままいったら細菌の勝利になってしまいます。
だからこそ抗生物質というのは使用方法を守って、耐性菌が生まれないようにしなければいけないというわけです。
結局のところ、風邪という疾患は「鼻炎成分、咳止め成分、痰切り成分、解熱鎮痛成分等」の症状を止める薬を服用しながら養生して、自己治癒力で治していくしかない疾患なんですね。
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